HTTP/3とは? 特徴と導入方法

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HTTP/3とは、Webサーバとブラウザ間の通信処理をさらに高速化するため、従来のTCPに代わりUDPをベースにGoogleが開発した「QUIC」を利用した通信プロトコルで、2021年にインターネットの標準化技術として正式承認されました。今後普及が見込まれるHTTP/3について解説します。

HTTP/3とは

HTTP/3の普及状況

全世界ウェブサイトの通信プロトコルシェア

HTTP/3は、2022年6月に、IETF(インターネット技術の標準化を推進する団体)により、標準化プロセスが完了し「RFC 9114」として勧告されました。
米Q-Success社の最新調査によると、HTTP/3の普及率は2025年4月時点で約35%のWebサイトが対応しています。

全世界ウェブサイトの通信プロトコルシェア推移のグラフHTTP/1.1以前:2020年1月 55.1%,2021年1月 46.0%,2022年1月 28.9%HTTP/2:2020年1月 42.6%,2021年1月 49.9%,2022年1月 46.9%HTTP/3:2020年1月 2.3%,2021年1月 4.1%,2022年1月 24.2%

※図表は米Q-Success社調査をもとに弊社作成

HTTP/3の国内導入シェア

日本の上場企業と非上場大手のサイトでは、HTTP/3導入シェア1.5%(55/4,059サイト)※ですが、今後増加が見込まれます。

※あとらす二十一調査

HTTP/3に至る通信プロトコルの変遷と対応

通信プロトコルの進化とモバイル通信環境の変化と対応

通信プロトコルの進化とモバイル通信環境の変化の図HTTP/1.1以前[1980年~2013年頃]:第1世代(アナログ方式/音声)第2世代(デジタル方式/メール)第3世代(世界共通のデジタル方式,LTE/ブラウザ,動画)HTTP/2[2013年~2020年頃]:第4世代(LTE-Advanced/高精細動画)HTTP/3[2020年頃~]:第5世代(最大通信速度は30年間で約10,000倍)

※図表は総務省電波政策2020懇談会報告書をもとに弊社作成

HTTP/1.1(1997年~)リクエスト処理 1個ずつ対応 

  • リクエスト処理性能低
  • ヘッドオブライン(HoL)ブロッキング問題(※)が顕在化
  • ※大きい画像のリクエストが発生すると、その処理が終わるまで次に進めず遅延の原因となる問題

HTTP/2(2015年~)リクエスト処理 複数同時対応

  • リクエスト処理性能改善
  • ヘッドオブライン(HoL)ブロッキング問題改善
  • 接続時に毎回5回(※)の通信が発生するTCP+TLS(暗号化)の仕様が、モバイルユーザー急増によって課題が顕在化(モバイル通信では移動による切断、再接続が多発するため)
  • ※「3 Way handshake」で3回+「TLS(暗号化)」で2回
HTTP/1.1とHTTP/2の比較図HTTP/1.1:Webページの読み込みが遅い(WebブラウザとWebサーバーのリクエストとレスポンスが直列処理)HTTP/2:Webページの読み込みが速い(WebブラウザとWebサーバーのリクエストとレスポンスが並列処理)

HTTP/3(2018年~)接続時の通信回数削減、再接続時の通信発生無し

  • GoogleがUDPベースの通信プロトコル開発(QUIC※)
  • TCPを使わずにUDPを使う事で接続時の通信回数削減(5回→1回)
  • 移動体通信時のIPアドレスやポート番号の変更に対応し、Webサイトへのアクセスが途切れにくい
  • ※Quick UDP Internet Connections

HTTP/3とHTTP/2の違い

HTTP/2とHTTP/3の違いは、通信方式にあります。HTTP/3の方が、Webサイトへのアクセスの高速化や、通信のセキュリティ向上が可能になります。
HTTP/2では、データ転送を行う前に複数回のやりとりが発生しますが、HTTP/3では1回のやりとりで接続が開始されます。さらにHTTP/3は、複数の通信経路の利用により通信を効率化できます。

HTTP/2とHTTP/3の接続開始処理の比較図HTTP/2:接続開始(Webページの読み込み)まで、5回のWebブラウザとWebサーバーのやりとりが発生HTTP/3:接続開始(Webページの読み込み)まで、1回のWebブラウザとWebサーバーのやりとりで完了
移動体通信におけるHTTP/3の優位点の図HTTP/2:移動による通信の基地局(IP)変更/再接続処理が必要HTTP/3:移動による通信の基地局(IP)変更/再接続処理不要

HTTP/3のメリット(まとめ)

  • 通信開始時の接続の高速化
  • 複数の通信経路の利用による通信の効率化
  • 通信のセキュリティ向上
  • モバイルでの再接続ロスの低減
  • ヘッドオブラインブロッキング(TCPパケットの送信エラーによるロス)の解消

HTTP/3の機能が活かせるWebサイト

SEOで集客力を高めたいWebサイトは、Webコンテンツの表示が向上するため有利になります。

  • ECサイト(画像や動画を多く掲載)
  • SNSサービス(ユーザーが画像や動画を多数投稿)
  • 解説サイト(リッチコンテンツを活用)
  • ニュースメディア

HTTP/3の対応方法

HTTP/3は、多くのサイトで利用されている従来型のWebサーバ「Apache」では対応できません。NginxなどHTTP/3に対応したWebサーバ、またはHTTP/3が標準提供されるクラウドプラットフォームやクラウドCMSなどを利用する事で対応できます。

主な対応方法

  • HTTP/3に対応したWebサーバ
  • Nginx、マイクロソフト IISなど
  • HTTP/3に対応したクラウドプラットフォーム
  • Google Cloud Platform、AWS、マイクロソフト Azure など
  • HTTP/3に対応したクラウドCMS
  • Hubspot CMS、Kinsta(WordPress)など
  • HTTP/3に対応したCDN
  • CloudFlare、Fastly、Akamaiなど

HTTP/3についてのご依頼やご質問・ご相談など、 お気軽にお問い合わせください

あとらす二十一

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