企業の海外進出に応じて、グローバルサイトを開設する企業は少なくありません。ただし、本社サイトを多言語翻訳するのみでは、一貫した企業ブランドの訴求や、地域の状況に的確に対応する運用は容易ではありません。
グローバルサイトの正しい理解と、構築の際に押さえるべきポイントや注意点をご紹介します。
グローバルサイトとは
グローバルサイトとは、特定の国や地域にこだわらず、全世界をひとつのマーケットとして捉え、共通した企業情報や製品情報、ビジョンなどを発信するサイトです。グローバルサイトと地域サイトは、役割・ターゲットが異なります。
グローバルサイト | 地域サイト | |
---|---|---|
構造 | ||
ターゲット | 全世界のステークホルダー | 対象国・地域のステークホルダー |
言語 | 基本的に英語 | ターゲットに適した言語 |
内容 | グループ全体の情報 | ローカライズされた情報 |
グローバルサイト構築の目的と役割
グローバルサイト構築の目的と役割は大きく以下の4点が考えられます。
- グループ企業へのハブ
グローバルサイトから特定の国や言語の地域サイトに中継 - グローバルなブランドの発信
全世界共通の自社の強みや、メッセージ、ビジョン等の理解を促進 - グループ企業全体の情報を集約
グループの情報を統括し全世界に発信する場として活用 - 現地法人との連携
現地法人の広報等のサポートやグループガバナンスの形成、グローバル人材の獲得など
グローバルサイト構築のタイプ
グローバルサイトは、機能と情報量によって3つのタイプに分けられます。
各国・地域サイトのインデックス機能は共通ですが、グローバルサイトによる発信情報のカバー範囲と掲載量に違いがあります。ゲートウェイタイプから、コーポレートタイプ、メディアタイプへ情報量が増加する傾向があります。
ゲートウェイタイプ
・国・地域サイトの選択機能に特化
・情報量を最小限に限定
コーポレートタイプ
・企業全体のグループサイトとして運用
・国・地域サイトのインデックス機能
メディアタイプ
・企業全体を代表した情報発信
・国・地域サイトのインデックス機能
グローバルサイトのタイプ別開設率
世界ではメディアタイプ、ゲートウェイタイプが多くを占め、グローバルな情報発信と各地域の言語サイトへの誘導を重視する傾向が推察できます。ゲートウェイタイプは2020年8月から大きく伸びており、各地域の言語サイト増加の影響が推測されます。
日本では、コーポレートタイプが過半数を占めますが、メディアタイプも今後増加が予想されます。
ゲートウェイ | コーポレート | メディア | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
日本 | 世界 | 日本 | 世界 | 日本 | 世界 | |
2020年8月 | 18% | 11% | 68% | 41% | 14% | 48% |
2023年12月 | 16% | 33% | 67% | 26% | 17% | 41% |
グローバルサイト構築のドメイン
国内主要企業のグローバルサイトの約7割が「.com」ドメインを使用しています。一部にはgTLDドメインの自由化により可能になった「.社名」ドメインを使用する例も見られます。
gTLD(generic top level domain)は、一般トップレベルドメインと呼ばれ、どの国や地域にも属さない国際的なドメインです。例:「.com」「.net」「.org」「.biz」「.info」など
一方で「.jp」などは、ccTLD(contry code top level domain)と呼ばれ、国や地域に属したドメインです。.co.jpは日本国内に登記されている企業だけが使えるドメインです。
社名をドメインに採用している企業
社名 | グローバルサイトURL |
---|---|
久光製薬 | https://global.hisamitsu/ |
ブラザー工業 | https://global.brother/en |
東芝 | https://www.global.toshiba/ww/top.html |
パナソニックホールディングス | https://holdings.panasonic/global/ |
トヨタ自動車 | https://global.toyota/en/ |
ホンダ | https://global.honda/en/ |
キヤノン | https://global.canon/en/ |
日本電信電話 | https://group.ntt/en/ |
ソフトバンクグループ | https://group.softbank/en |
グローバル用と国内用のドメイン
グローバル用と国内用のドメインは共通ドメインを使用する企業が増えています。
(2022年5月の共通ドメイン:51%)
ドメインの例
共通ドメイン | 別ドメイン | |
---|---|---|
グローバル用 | takeda.com/ | bridgestone.com |
国内用 | takeda.com/jp/ | bridgestone.co.jp |
グローバルサイト構築のインターネット環境
世界のインターネット利用者数は53億人を超えていますが、利用環境は国や地域によって大きく異なります。グローバルサイト構築にあたって、主流となるデバイスや回線速度の違い等を考慮する必要があります。
- インターネットの通信速度は地域によって異なる
- 2025年に世界のモバイル通信の10%は3G回線と予測
(4G回線:60%、5G回線:30%/モバイル通信の業界団体GSMAによる) - スマートフォンとPCの利用比率は地域によって異なる
- 日本国内ではiPhoneのシェアが高いが、世界ではAndroidのシェアが7割を超える
参考記事 グローバルサイトの開設率
参考記事 グローバルサイトの事例
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グローバルサイト構築・リニューアルをご検討の皆様へ
「Webサイト構築サービス」および「グローバルサイトデザイン制作の課題」をぜひご参照ください。
グローバルサイト構築のFAQ
グローバルサイト構築は必要ですか?
はい。海外で広く事業を展開する企業には、グローバルサイトの構築が必要です。特定の国や地域に限定しない世界中のステークホルダー(利害関係者)を対象に、各国や各地域のグループ企業を統括したグローバルサイトによるコミュニケーションが求められます。
グローバルサイト構築と英語サイト・多言語サイト構築との違いは何ですか?
グローバルサイト構築と英語サイト・多言語サイト構築との最も大きな違いは目的です。
グローバルサイト構築は、特定の国や地域を超えた世界規模のコミュニケーションを目的としたサイトを構築しますが、英語サイトや多言語サイトは主として、その言語圏のユーザーとのコミュニケーションを目的としたサイトを構築します。グローバルサイト構築にはCMSは必要ですか?
はい。CMSの導入は、グローバルサイトを構築するために非常に有効です。
CMSによっては、多言語による更新作業の対応や、グローバルな統一性を持つコンテンツと各地域にローカライズされたコンテンツの効率的な制作・管理に役立ちます。