2021年の主要なIRサイト評価ランキングが発表され、サステナビリティ関連や2022年4月の東証新市場区分移行に関連した、新たな評価基準の傾向が見られました。
IRサイトの評価ランキングの新傾向とトレンドについてご紹介します。
IRサイトの評価ランキングとは
IRサイトの評価ランキングには、「大和IR インターネットIR表彰」、「日興アイ・アール ホームページ充実度ランキング」、「Gomez(ゴメス)IRサイトランキング」があります。
IRサイト評価ランキングの比較
調査対象:日本国内の上場企業
インターネットIR表彰 | ホームページ充実度 ランキング | Gomez IRサイトランキング | |
---|---|---|---|
調査企業 | 大和インベスター・リレーションズ | 日興アイ・アール | ブロードバンドセキュリティ |
開始年 (通算回数) | 2000年(21回) | 2003年(19回) | 2007年(15回) |
表彰区分 | 最優秀賞、優秀賞、優良賞 | 最優秀サイト、優秀サイト、優良サイト | 優秀企業金賞、優秀企業 銀賞、優秀企業銅賞 |
調査時期※ | 6月~10月 | 6月~9月 | 9月~11月 |
調査範囲 | 企業ホームページ | コーポレートサイト (商用サイトを除く) | ウェブサイトに掲載されたIR情報 |
予備調査 | インターネットIRの基本となる9項目で評価 | 3つの視点(分かりやすさ/使いやすさ/情報の多さ)ごとに選定した50項目で評価 | 最低限のコンテンツなどの12項目で評価 |
最終調査 | 大和IRスコアボードの12項目で評価・選考後、英語版IRサイトも評価 | 予備調査の50項目を含む162 項目で評価 | ユーザーの視点により設定した241項目で評価 |
大和IR インターネットIR表彰
2021年は、コーポレートガバナンス・コード改訂でESG情報の開示拡充が含まれたことや、東京証券取引所の市場区分再編を控えていることから採点項目が見直され、サステナビリティ部門が新設されました。
日興アイ・アール ホームページ充実度ランキング
2021年度は、近年重要性が高まっている非財務情報関連の評価項目が追加されました。
他のランキングと異なり、株主・投資家・消費者・取引企業・就職希望者など、ステークホルダーが利用する観点で評価される特徴があります。
総合表彰のほか、業種別、新興市場別の表彰があります。
Gomez(ゴメス) IRサイトランキング
2021年は、ESG投資の拡大といった社会的背景をふまえ、前年からサステナビリティ情報の充実度が重視されています。ウェブサイトの使いやすさで、検索機能やサイトの表示速度も評価要素に加えられています。
優秀企業ランキングのほか、業種別・新興市場ランキングも同時に発表されます。
東証新市場区分移行によるIRサイトの影響
東京証券取引所(東証)は、2022年4月4日、現在の4つの市場区分から、グローバル企業向けの「プライム」、中堅企業中心の「スタンダード」、新興企業向けの「グロース」の3区分に再編します。
2022年1月11日には、上場企業3777社の移行先が公表されました。プライムには東証1部の約8割にあたる1841社、スタンダードには1477社、グロースには459社が移行する予定です。
プライム市場のIRサイトの影響
スタンダード市場におけるIRサイトの影響
グロース市場におけるIRサイトの影響
IRサイトデザイン・制作の傾向とトレンド
IRサイトのデザイン・制作の注目される傾向、トレンドとデザイン事例をご紹介します。
更新が多い情報をトップページで訴求
投資家とのタイムリーでスピーディなコミュニケーションを実現するため、変化が速い情報をトップページで訴求する事例が増えています。
ファーストビューへの掲載など、スマートフォンでの表示も重視されています。
更新が多い情報を訴求したIRサイトのデザイン事例
サステナビリティ情報をトップページに露出
サステナビリティ関連情報は、ESG投資の拡大もあり、IRサイトランキングにおいても重視されています。
今後、IRサイト内でサステナビリティ情報が増加することが予想されます。
特にプライム市場では、ESGを重視する機関投資家に向けた、サステナビリティへの取り組みの訴求が一層重要になりそうです。
サステナビリティ情報を露出したIRサイトのデザイン事例
個人投資家向けコンテンツの充実
個人投資家向けコンテンツは、「ゴメス IRサイトランキング」の評価項目にもあり、約7割のIRサイトが保有していますが、充実度は企業によって大きく異なります。
東証の新区分移行後も、一般投資家を含めた取引活性化のため、より重要になると予想されます。
海外では、投資文化の違いから個人投資家に特化したコンテンツは多くありません。
個人投資家向けコンテンツが充実したIRサイトのデザイン事例
重要指標をトップページでシンプルに訴求
投資に関連する業績指標を限定し、トップページでより大きく訴求する事例が増加しています。
特に海外のIRサイトで目立つ傾向ですが、投資初心者にもポイントが分かりやすいため、日本国内でも増加すると思われます。
トップページで訴求されている主な業績指標
売上収益/営業利益/オペレーティングマージン/
従業員数/製造拠点数/製造国数/
1株あたりの配当金/株主資本/株主還元額
今後は、CO2削減量や女性管理職比率等、サステナビリティ重視の投資意識に対応した指標の掲載も考えられます。
重要指標をシンプルに訴求したIRサイトのデザイン事例
IRサイトの制作・デザイン・リニューアルに関するQ&A
なぜ、IRサイトの制作にはコーポレートサイトと別のCMSが利用されますか?
IRサイトは投資に関連する情報をタイムリーかつ、正確に開示することが求められるからです。株価や法定開示情報をIRサイトに自動的に反映し、サイト運用の負担を軽減できるIRサイト専用のCMSが多く利用されています 。
IRサイトのデザインはコーポレートサイトと、どこまで統一するべきですか?
投資家はコーポレートサイトからIRサイトへ訪問することが多いため、スムーズに遷移でき、移動後も違和感がなく利用できるデザインの統一性が必要です。ただし、ページによってはIR特有の財務情報や重要ポイントを分かりやすく伝えるデザインが優先されます。
IRサイトのリニューアルでSDGsのコンテンツは掲載すべきですか?
はい。SDGsの取り組みが、投資家や金融機関の評価基準として定着しているため、掲載すべきです。 SDGsは世界共通の目標であり、投資家が企業のESG(環境・社会・ガバナンス)を評価する上で主要な指標となっています。
IRサイトについてのご依頼やご質問・ご相談など、 お気軽にお問い合わせください
当社でIRサイトの構築・制作・運用をサポートした企業が、2022年のIRサイト評価ランキングで多数表彰されました。
Webサイト構築サービス及び事例・実績をぜひご参照ください。