Webサイト構築に欠かせなくなってきたCMS(コンテンツマネージメントシステム)について、コーポレートサイトでのシェア(導入率)と種類比較・特徴などをご紹介します。
コーポレートサイトのCMS導入率
上場企業のコーポレートサイトCMS導入率は約4割(2022年2月累計)に達しました。直近のリニューアル年別CMS導入率は約5割に達しています。
新市場区分では、新興成長企業中心のグロース市場のCMS導入率は約6割に達しており、他の市場と比べても高い水準にあります。
コーポレートサイト新市場区分別CMS導入率
プライム | 36.4% |
---|---|
スタンダード | 39.3% |
グロース | 59.0% |
全体 | 39.9% |
商用CMSとオープンソースCMSの導入率の違い
CMSには、商用CMSとオープンソースCMSがあります。
商用CMSとはシステム開発会社などによって開発され、有料で提供されているCMSです。コーポレートサイトの商用CMSの導入率は2割強ですが、世界で多くの製品が開発されています。
オープンソースCMSとはプログラムが一般公開され、誰でも利用できるCMSです。オープンソースCMSは個人による導入が非常に多いことが特徴ですが、コーポレートサイトの約4分の3で導入され、企業にも多く利用されていることがうかがえます。
商用CMSとオープンソースCMSの比較
商用CMSはアップデートやトラブル対応など、保守がメーカーに保証され、運用者向けのマニュアルや教育体制も整備されている製品もあります。一方で技術者や対応企業が限られ、追加開発などはコストや期間が大きくなりがちです。
オープンソースCMSは導入数が多く、対応できる技術者も多いため、開発スピードが速いメリットがあります。ただし機能追加・保守などは自己責任となり、ライセンスは無料でも導入や運用に費用がかかることがあります。
商用CMS | オープンソースCMS | |
---|---|---|
ライセンス費用 | △ | ◎ |
アップデートの スピード | △ | 〇 |
拡張性 | △ | 〇 |
サポート | 〇 | △ |
安全性 | 〇 | △ |
導入数 | △ | ◎ |
技術者の数 | △ | 〇 |
コーポレートサイトで導入率の高いCMS
コーポレートサイトでの導入数10位以内のCMSは以下の製品です。商用CMSが7製品で、国産CMSはその内の4製品(infoCMS、Movable Type、PowerCMS、Share With)でした。
商用CMS
- Adobe Experience Manager
- infoCMS
- Movable Type
- NOREN
- PowerCMS
- ShareWith
- Sitecore
オープンソースCMS
- concrete5
- Drupal
- WordPress
(調査対象:CMS導入が判明した東証新市場区分の企業 2022年2月 当社調べ)
CMSのクラウドとパッケージの比較
CMSの提供形態には、クラウドCMSとパッケージCMSがあります。
クラウドCMSとはインターネット経由で提供されるサービスを利用するCMSで、オンラインで簡単な契約手続きを行えば、すぐに導入できます。
パッケージCMSとはパッケージ製品として提供され、サーバーにインストールし導入するCMSで、自社のサイト運用に合わせてカスタマイズすることが一般的です。
クラウドCMS | パッケージCMS | |
---|---|---|
導入までの期間 | ◎ | △ |
初期費用 | 〇 | △ |
ランニング費用 | △ | 〇 (サーバー費用等での増加もある) |
機能のカスタマイズ | △ (カスタマイズ前提の製品もある) | 〇 |
他システムとの連携 | △ | 〇 |
安全性 | 〇 | △ (自社での対策が必要) |
CMSの動的・静的配信の比較
CMSの配信方法には、動的CMSと静的CMSがあります。
動的CMSとは、WebページにアクセスしたタイミングでHTMLページを生成し、配信する仕組みのCMSです。ページのパーツが別々に保存され、修正作業でページ全体の修正が必要がないため、動的CMSは更新頻度が高いサイト向きです。
静的CMSとは、CMS上で事前に完成されたHTMLページを配信する仕組みのCMSです。そのためアクセスから短時間で表示できるメリットがあります。WebサーバーとCMSサーバーを分離させることができるため、静的CMSは比較的セキュリティが高いと言えます。
動的CMS | 静的CMS | |
---|---|---|
導入しやすさ | 〇 | △ (HTML等の専門知識を要する) |
データの更新速度 | 〇 | △ |
表示速度 | △ | 〇 |
サーバーの負荷 | △ | 〇 |
安全性 | △ | ◎ |
動的CMSの提供形態の比較
動的CMSの多くは、提供形態をクラウドCMSとパッケージCMSから任意に選択できます。
クラウドCMSは比較的手軽に導入できるメリットがありますが、パッケージCMSがカスタマイズや安全性などを考慮し選択されるケースもあります。
オープンソースのクラウドサービスなど、開発元以外の企業がCMSとサーバーの保守を一括して担うマネージドホスティングサービスもあります。
製品名 | クラウド | パッケージ |
---|---|---|
Adobe Experience Manager | 〇 | 〇 |
a-blog cms | ― | 〇 |
concrete5 | 〇 | 〇 |
Drupal | △ | 〇 |
HeartCore | ― | 〇 |
Hubspot CMS | 〇 | ― |
infoCMS | 〇 | 〇 |
PowerCMS | 〇 | 〇 |
Share with | 〇 | ― |
Sitecore | 〇 | 〇 |
WordPress | △ | 〇 |
静的CMSの提供形態の比較
静的CMSの提供形態はパッケージCMSが主流でしたが、近年はクラウド環境で比較的安価に高機能なCMSを構築できるクラウドCMSも提供されています。
製品名 | クラウド | パッケージ |
---|---|---|
ALAYA | 〇 | 〇 |
Connecty CMS | 〇 | ― |
Movable Type | 〇 | 〇 |
NOREN | ― | 〇 |
SITE PUBLIS | 〇 | 〇 |
TeamSite | ― | 〇 |
WebRelease2 | △ | 〇 |
商用CMSの国産・海外製の比較
海外製のオープンソースCMSは国内でも導入数が非常に多いため、商用CMSで比較しました。
国産CMSは導入や運用の疑問に対し、比較的早く回答が得られやすいメリットがあります。ただし、海外製CMSにも、販売拠点を日本国内に置き、サポートが充実した製品があります。
海外製CMSは世界で導入数が多いため、開発スピードが国産に比べるとやや速い傾向にあります。グローバルサイト構築では、海外にユーザーが多く多言語に対応した海外製CMSが優位となる可能性があります。
国産CMS | 海外製CMS | |
---|---|---|
導入しやすさ | 〇 | △ |
国内導入数 | 〇 | × |
海外導入数 | × | 〇 |
多言語対応 | △ | 〇 |
開発スピード | △ | 〇 |
日本語サポート | 〇 | △ |
国産の主なCMS製品
a-blog cms、ALAYA、Blue Monkey、infoCMS、Movable Type、PowerCMS 、RCMS、Share with、SITEMANAGE、Site Miraiz、SITE PUBLIS、WebRelease2 ほか
海外製の主なCMS製品
Adobe Experience Manager、concrete5、HeartCore、HubSpot CMS、Kentico、NOREN、Oracle WebCenter Sites、Sitecore、TeamSite、Wix ほか
コーポレートサイトのCMSに関するQ&A
商用CMSを利用すれば安心ですか?
商用CMSは、安全性が高くメーカーのサポートが充実している製品が多い反面、販売本数が少ないため、技術者が少なくアップデートやセキュリティ対策が遅れるリスクもあります。過去にはサービスを終了した商用CMSもあり、導入実績などにも注意が必要です。
複数のCMSを同時に利用することはありますか?
コーポレートサイトは一つのCMSでも構築できますが、企業情報のCMSのほかに、ニュースや記事ページを別のCMSで更新性を高めたり、IR(投資家向け)ページのみにIRサイトに特化したCMSを採用することは少なくありません。
同一製品のパッケージ版とクラウド版は使える機能も同じですか?
同じ製品でもクラウド版は、サーバーの設定などにパッケージ版よりも制限が多いことがあります。さらに利用できるプラグイン(機能拡張)がクラウド版とパッケージ版で異なるケースがあるため、導入前に確認することが必要です。
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